指導者として学習者の弱点を見抜く力

指導者は学習者の弱点を早期に見つけ、改善策を提示しなければなりません。この早期にみつけるということがなかなか難しく、どんな弱点があるのかを知っていないと見つけにくいことも少なくありません。


それは、指導者自身の弱点を克服した経験や、指導者として学習者の弱点に真摯に向き合った経験に基づきます。


例えばスケール練習でも、音をしっかりイメージしているか、それともただ運指をなぞるだけになってしまっているかで、上達速度や質が全然違います。特に簡単なスケール練習ではその違いはわかりにくく、それを聞くだけでは判断し兼ねます。


ある程度までは運指をなぞるだけでも出来てしまうので、学習者も指導者も疑問を持たないまま先に進みます。しかし、キーが増え、内容が複雑になるにつれて、運指の記憶だけでは対応しきれなくなります。


学習者は自分のやり方しか知らないのでただの練習不足だと思い込みます。指導者は順番に教えているつもりなのでなぜ出来なくなっていくかわかりません。


もちろん根性で練習しまくれば出来るようになるかもしれませんが、ここまで書いてそれがとても効率の悪い方法だということは言うまでもありません。それに、頑張って出来るようにならない可能性も低くありません。


これを回避するためには、学習者が運指と音を結びつけているか、音そのものをどれだけイメージ出来ているかを早い段階で確認する必要があると考えます。


他にも考えられる弱点は沢山あり、その弱点の存在を予め知っていないと見逃してしまうことは少なくありません。見逃してしまうと、身になりにくい練習をさせてしまうことになり兼ねません。


指導者として学習者の弱点を見抜く力は、学習者の陥り易い弱点の存在をどれだけ知っているかが鍵となると言えるでしょう。