楽に吹くことの真意

サックスの奏法において、楽に吹くこと、脱力することは、理想の奏法のひとつとされています。しかしそれ自体とても抽象的で、実際にどうすればいいのか具体的なことがわからず、この言葉を受けた人がそれぞれの解釈をしてしまっているのが現状です。

 

脱力とはいえ、本当にあらゆる力を抜いてしまうと立っていられないし、呼吸も出来ません。なので、脱力とはいえ必要最低限の力は入れることになります。

 

また、“楽に”あるいは“脱力”は、相対的な感覚とも考えられます。「初心者の頃より上手くなった今の方が楽に吹いている」とか、「前より力を抜いたら上手くいった」とかです。

 

そして更に、サックスの発音の仕組みを基に必要な力、不要な力を考え、身体を効率良く使えるようになると、あたかも力をほとんど使っていないと感じられるくらいの力で吹けるようになります。

 

様々な要素がありますが、例えば「お腹を使う」といったとき、局所的な「お腹」を意識すると凄く力む必要がありますが、「お腹や背中や胸など呼吸に必要な大きな筋肉全体」を満遍なく使えるようになると、体感としての力はとても楽になります。

 

つまり、“楽に”とか“脱力”とか言う人ほど、実は正しいアプローチで吹いてるうちに適切な筋肉を使えるようになった人だったりするわけです。

 

楽に吹くこととは、楽をすることではなく、必要な力・不要な力を知り、感覚を掴み、効率よく吹くことです。